グローバク化に翻弄される賛成派&反対派(9月入学)

9月入学に関して、まあ後は意見は人それぞれだから反対すること自体を否定するつもりは全くないんだけど

 

一つ気になることがあって、反対派の意見に「グローバル信仰(笑)」とか「グローバル化より自分の国のスタイルを保つべき」という意見がよくみられる。

一見正当そうな主張に見えるけど、9月入学がもたらす具体的な恩恵、逆に言えば4月入学の現状での具体的な弊害が見えた上での発言とは思えないものが多い。

たぶん「グローバル化」ていうあやふやな言葉に惑わされて実態が見えていない人が多いんじゃ無いかな。(これは賛成派・反対派限らず)

 

まずは現行のシステムに具体的にどののような弊害があるのかみてみる。

4月入学の日本から9月入学の国へ留学する場合、まず入学時に半年入学が遅れる。そのまま現地で職につけば半年の遅れで済むが、仮に日本に帰国して就職する場合、また半年遅れることになる。結局、トータルで一年遅れる、すなわち留学すれば留年や浪人と同じ状況になってしまうわけです。

留年や浪人は(一般的に)自身の実力不足から生じるもので自業自得的な面があるが、留学は「そういう選択肢をした」というだけで一年遅れてしまうのだ。

f:id:miyokatunbe:20200504213614j:plain

アメリカの大学に進学した高校時代の後輩

そしてそれは9月入学の国から4月入学の日本に留学してくる外国人留学生も全く同じ状況だ。

f:id:miyokatunbe:20200504213046j:plain

こちらは同じ大学の留学生からの反応


そんな状況でも日本にへやってくる留学生がいるのも事実。日本の教育に魅力を感じている人が一定数いる証拠である。そんななか制度の壁によって「日本」という選択がされにくくなるという状況が由々しいという状況はできることなら打破されるべきである。


また、学生だけでなく交換教授でも同じことが言えるようだ。これは尾木ママのブログに書いてあったことだけど、「これでは留学に不便なだけじゃなく、交換教授もなかなか進まず、国際学会での評価は低いのです。常にトップリーダーであった東京大学でも、今やアジアで5位のポジションに甘んじているのです」(だから東大は昔本気で9月入学検討したのかな?)教授って面もあるんだね知らなかった。

 

 

そして留学がしやすくなった、その先になにがあるのか。これが大事。(でも見えて無い人多いんじゃないかな)

これはただ単に「留学しやすくなった」だけの問題では無い。「俺、留学とかしないから関係ない」という話ではないということだ。

日本国内に居続ける人にも大きな影響があるのだ。

先ほども言ったように、システム的に留学しやすいしくみが出来上がれば国内の留学生の割合は幾ばくかは上昇するだろう。私の所属している学科は約70人中3人が留学生だ。たった3人であるが、価値観や考え方、教育システムの違いなどに驚かされる。また、僕のかつて通っていた高校には「国際教養科」というものがあり(僕は「普通科」だったけど)国際性豊かな高校であった。交換留学も多いし、帰国子女も多い。普通科のクラスにも長期滞在の留学生が1人は配置されるし、短期留学生もクラスの一員となる。そのような環境下で国境を超えた交流がなされるわけである。いままで日本という島国から出たことのない人たちにとっては様々な新しい価値観、考え方に触れる機会となる。

またそのような環境下であれば、次第に「留学」という選択肢が選びやすくなってくる。先ほども言ったように僕の高校には国際教養科があって国際教養科の中にはフィンランドやドイツ、アメリカへ1年留学する人もいる。(僕の仲のいい国際教養科の同級生はみんな留学して一個下の学年になってしまった…)そんな環境なので毎年、普通科でも1年留学する人もいる。「留学」という環境が整っているので当然の流れだ。このように選択肢が自然と広まっていくのも利点の一つだ。 

 

グローバル化のメリットは英語が話せるようになるとか、留学しやすくなる、といった面だけではない。そもそも「グローバル化」とはさまざまな情報や物が国境という概念を超えて移動したり活発になったりすることを言う。日本にいながらも様々な国の人間と関わる機会が増えるのは、それだけでもうグローバル化なのである。

その辺は勘違いしないで欲しい。

だから9月入学のメリットの否定として、「本当に留学したい人には9月だろうが4月だろうが関係ない」とか「一部の留学する人だけの問題」という主張は根本的に誤っている。

あるコメンテーターがテレビで「グローバル化ってなに?日本人であることの軸もはっきりしないうちにグローバル化?」みたいことを言っていたがそうじゃない。日本人という軸をはっきりさせるためにも(他軸と比べてみて初めて自覚できる軸もあるだろう、というか比べてみて初めてわかることの方が多い気がする)グローバル化というメリットは大きく寄与するのだ。

 

 

もちろんだからといって9月入学をゴリ押せと言っているわけじゃない。様々なデメリットがあるのは十分承知しているし、それらは検討されるべきだ。ていうか上に言ったメリットならなにも完全9月入学に移行しなくても、日本でも

f:id:miyokatunbe:20200504212645j:plain

アメリカの大学に進学した高校時代の後輩より

 


4月入学と9月入学を選べるようにすればいい話(アメリカみたいに)。

ただ「グローバル化」という言葉に翻弄されて現実の問題やメリットとかけ離れた議論をみるのは見るに耐えない。もちろんこの状況を承知で議論を展開している人もいるだろう。承知した上で反対する人もいるだろう。それを否定する気は全くない。正直、この段階にきてはあとは国の判断を待つばかりと言う感じで如何しようも無いと感じている。

この記事でいいたいのは「だから絶対9月入学にした方がいい!」って話じゃなくて、メリットとしてこう言う話があるよってだけ。みんな「グローバル化」っていう抽象的な言葉を抽象的にとらえて実態が見えてないんじゃない?って思っただけです。

 

みんな言葉には気をつけてね。9月入学反対案に「日本の伝統」としての桜を廃止するのは如何なものか、と言う意見もあるけど「日本の伝統」ってなんだろうね?岡本太郎の「日本の伝統」という本を読んでから僕はずっと考えてるけど、答えがでそうにないよ

f:id:miyokatunbe:20200504213320j:plain

こちらはアメリカの大学に進学した高校のまた別の後輩(いろんな意見がありますね)